この道が好きだった。

高校からの帰り道。
ここは数少ない自転車で全力疾走しても大丈夫な道。車も少ないし、道幅も広いし、まっすぐ。
やれることの少ない高校生だった俺が熱中したのは、自転車と、文書き。文書きはフラストレーションがないと書けないものだというのは、後で分かる話。(今なんて同じ状況なんだろうな。)

この道が好きだったもう一つの理由。
友達カップルが二人して、幸せそうに歩いて帰っている道だったから。
二カップル、歩いていた。一つは彼氏のほうがツンツンしていて見た目こわいので、友達である彼女さんのほうに声かけられなかった(その後、ツンデレだったことが判明)。
もう一つは二人ともとってもいい人たちで、自転車で後ろから「バイバーイ」などと声かけると、二人して「バイバーイ」と言ってくれるので、好感度が高かった。
幸せのおすそ分けのようないい気分。

声かけられなかったほうの彼女さん(友達だけど)は、今度結婚する。
お子がそしてすぐに生まれる。
旦那はそのときの彼氏ではもちろんないけど、数倍いいやつなので、友達の私も納得である。安心して嫁に出すことができる、そういう気分。

旦那である彼氏の粘り腰は見習うべきところがある。付き合うまでに四、五回はふられている。俺も見習わなきゃなぁ。結婚の仕方も作戦として頭に入れておかねば。いや、真面目な話よ。