成長しない

その子といったい、何を話していいのか、何をしたら適切なのか、俺はずーっと考えていた。
とにかく車を出してと言われるがまま、車を出してはみたものの、特に話も弾まない。
行く先も決まらず、どこいこうか?と言っている間に、笠沙恵比寿まで来てしまった。
そこに至ってもなにもない。
夜の海をぼさーっと見ながら、あっちが中国だよねーとかどうでもいいことを話したり、タバコを吸ってみたり、とにかく間が持たない。
俺はいったい何をしたらいいのだろうかとその間もずっと考えていた。
雨が降ってきた。車に戻る。
車の中にいるだけもどうかと思うので、またどこかに移動することにした。
とにかく、海のそばがいい、という。
心の中で「なにが海だ。海とかどうでもいいだろう」と思った。考えすぎて一周回って、いい加減帰りたくなっていた。のどまで、もう帰るよ、という言葉がでかかる。
それを、ぐっと抑えて、鴨池港の駐車場に車を止めた。
若干、いや、割と焦ってきた。
このままだとなにかいけない。
なにか、実績を残さないといけない。
俺はそのときのタイミングをいつも間違う。大体、何らかの実績を残そうと焦ったときに間違ってしまう。
そもそも、男にとっては永遠の課題だと思うのだけど、それをどう言えば、スムーズにいくのか、ということだ。
大学時代、同じようなことがあったとき、この手のことをスムーズに運ぶ友達に聞いたことがあった。
「そういうこと考えてるからモテないんだ」と言われた。俺はイライラして、勝ち誇るな、この、男としてダメな男!と罵った。
とにかく、実績を残さないといけない気がした。
助手席でその子は、退屈しているように見えた。そろそろ帰ろうかみたいな雰囲気すら出ている。いいかげんにしろ、帰りたいのは俺のほうだ、と思った。しかし、情けないことに、実績を残さないといけない、という焦りが増大してきた。
意を決して、その一言を言ってしまった。

「あのさー、こういうところでなにもしないのも意味ないから、どっかでセッ○○しないか?」





というようなことを言ってしまった次の瞬間くらい「僕ってやっぱりダメな男だ!」と落ち込んだ瞬間が、エリア外でリオレウスを倒してしまって、剥ぎ取りができない事態に陥ったとき。
何度も何度もやってしまう。