ドキュメンタリー(1)

これは、一人の男の過ちからはじまる悲しみのドキュメンタリーである。

■2007年1月31日23時13分

「おー……、、、……は?…ん?…えっ?」

 男はネットでライブのチケットを購入しようとしていた。お面のバンドのチケットである。

 彼は口では「お面のバンドのライブ、昔、わりとよく行ってたし、言っても、ライブ見たって、そんなでもアレっすよ」とは言うが、本音は、心の底から行きたくて行きたくて仕方ないのである。(また、彼には「対バンはアレかよ!」と言いながら、見たくて見たくて仕方のないバンドもいる。)

 要するに、彼は「ヨカブイゴロ」なのである。

 彼はとにかく焦っていた。
 チケットぴあの場合、「2/1発売」なら、「2/1の10:00から受付開始」ということになっているという注意書きすら目に入らないほど。

 そして、彼はそのライブのPコードを入力し、あるはずのない、上記の情報が頭に入っていた彼なら、「これはありえない」と判断し、押すはずのない「販売受付」のボタンをクリックし、大急ぎで購入手続きをしたのだ。ライブ名を確認することなく。

 彼の頭には「同じPコードでも、複数の公演が登録されている」というケースは考慮に入っていなかった。単一のPコードは、単一の公演と対応していると、彼は思い込んでいた。

 そして、すべてが終わったあと、彼は過ちに気がついた。

■公演名
THE B○CK HORN


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 男の時間が止まった。止まってしまったのだ。

 とりあえず、男はその止まった時間から、這い出すように、ライブ友達にメールを打ったのだ。

 彼の思考は、月面歩行を試みる宇宙飛行士のように、緩慢になっていた。

 男はいわゆる「ヨカブイゴロ」だった。
 今は頭に「ヤッセンボ」がつく。


  えぇ〜(ノД`)    つづく。